路線バス探訪記

バスに乗って旅がしたい

せとうちバスと四国交通を新宮で乗り継いだとき(~2014年9月末~)

ついにせとうちバスの「新宮」と四国交通の「茂地」が廃止されるということで思い出話。

 

思い起こせば九州外で初めて乗った路線はせとうちバスの「新宮」行き。そして四国交通の「新宮」発「阿波池田」行きでした。
事の発端は四国交通の池田~いよ新宮線が2014年9月末に廃止されると聞き、最期に『県境の小さな村で路線バスを乗り継ぎたい!』というロマンを実行するために訪れたものでした。

あれから10年...10年!?

 

 

 

 

2014年9月26日金曜日の夜、高校から帰るともう20時。前日から準備していた荷物と入れ替え、すぐに天神バスセンターへと向かいます。


21時過ぎに到着し、家路につくサラリーマンたちをかき分けて6番乗り場にたどりつくと明らかに他とは違う雰囲気。皆これから一晩をバスの中で過ごすともあって他乗り場の人たちとは覚悟の持ち様が違うように思えます。
かくいう自分も、夜行バス自体は桜島号などで経験はあるものの10時間弱に一人で乗るとなれば初めて。ドキドキと楽しみが入り混じっていました。

 

 

岡山行き、松山行きと発車するごとにあれだけいた夜行バス待ちであろう人たちは半分ほどになっていました。

その後、発車の5分前にひときわ目立つシャンパゴールドカラーの高知行きが到着。この日は旧高知県交通車両での運行でした。


自分は最後に乗車すると車内は既に7割程度の乗車率。これから博多駅、北九州と立ち寄るとほぼ満員に。福岡から高知への需要がそこそこあるのに驚きです。

座席は2C。座り心地などは印象に残らなかったのかあまり覚えていません。驚きだったのが、床がカーペット?絨毯?敷だったこと。足音を出さないためだったのでしょうか?車内に乗り込んだときの感触が普段の高速バスと違いすぎてびっくりしました。
あとはトイレ横のドリンクサービスがあったようななかったような...松山行きの伊予鉄だとミカンジュースがもらえたのは覚えてるんですが、高知もしてたっけ...

 

 

ともあれ、バスは関門橋、瀬戸大橋と越えて朝の休憩地である『豊浜SA』に日の出前の5時半過ぎに到着。もう10月ともあって外はひんやりとした空気でした。

 

(まだ高知県交通の表記が残っていました)



休憩が終わって走り始めたと思うと、すぐに降車予定の「三島川之江インター」に到着する旨の放送が流れます。

休憩中に降車準備は済ませておいたため、到着後に慌てることもなくあっさりと降車。自分の他にも数名がここで降りていました。




高知への長旅へ戻るバスを見送り、ようやく路線バス乗り継ぎの旅がスタート。
まずは『伊予三島駅』まで歩きます。大体3kmほど。
インターの近くからでも乗れますが、どうせなら始発から乗りたいのがマニアの性。時間にも余裕があるのでのんびりと駅まで歩きました。インターから駅まで大体1時間半でしたね。

 

さて、お目当てのバスは駅前から出ています。川之江新居浜を結ぶ路線が毎時1.2本あるのに対し、新宮行きは1日4本。日祝は3本と心許ない本数。
こちらも近い内に廃止されるのかな。なんて思ってたら本数は変わらないまま、10年も走ってくれました。

 

発車時刻の10分前には回送表示のバスが登場。『ワンステップバス』表記が愛らしい古そうなバス(当時の主観)でした。

 



 

発車まで車内で待っていると、乗務員の方に誰も乗らないから一番前においでよと言われ最前列の座席へ。
帰りにも乗ることを伝えると回数券を勧められ千円分を購入。この回数券の表紙は今も大事に保管してあります。

 

福岡から夜行バスで来てインターから歩いたなどと話しているともう発車時刻。自分だけの貸切バスは愛媛と徳島の県境の村へ向けて出発です。

駅から2つか3つ目のバス停でお遍路巡りの方を乗せ、合計2人で市街地を脱出・・・
したのも束の間、「金田」からとんでもなく狭い道に入っていくではありませんか。


ここ大変なんだよね。と言いながらすいすいと対向車を避けて「三角寺口」に到着。ここでお遍路巡りの方が降りて車内はまた一人ぼっちに。



三角寺口」周辺はとても狭く、見通しも悪いカーブが続きます。

 

(外から見ても狭い)

 

バスは引き続き狭い山道を上り、「平山」の手前でようやく現道に復帰。この道が出来るまでは先ほどの道路状況が新宮まで続いていたのだとか。
峠越えが酷い状況だったのは全国各地で聞く話ですが、数区間だけとはいえ今も変わらず同じ道を走り続けているのは貴重でしょう。

 

最高地点にたどり着くと、こちらも狭い『堀切トンネル』を通ってようやく『新宮村』へ。
ここからはダム沿いの道を村の中心部まで走ります。
途中、ダムへ向かう道と別れる箇所だけ旧道に入る以外はセンターラインもある整備された道で、前半の極悪道路に比べると少々物足りなさも感じてしまいます。

 

 

もうすぐ新宮村の中心部に着くというところで、前方の道路脇に青と緑の新しそうなノンステップバスが待機していました。
あれが乗り継ぐ予定の四国交通と聞き、とりあえずポンチョではなかったことに一安心。
四国交通には専用の待機所等は無いようで、道路脇だったり福祉センターだったりで休憩しているみたいでした。


その後、小さな橋を渡って右側に商店が見えてくると終点の「新宮」です。

最終で帰るなら床が木のもっと古いヤツがくるよと嬉しいお言葉を頂いてバスから降車。そのまま待合所の隣にある広めのスペースで転回して休憩。

(ここがせとうちバスの待機所のようです)

 

そしてお次は、ようやくお目当ての県境越えの路線バス。
降りたところが始発地なので時間までしばしの待ち時間。

欲を言えば、せとうちバス四国交通が並んだところを見たかったのですが、そこまで都合の良い時刻設定にはなっておらず、せとうちバスが出た後に先ほど待機していたノンステップバスがやってきました。

(後の営業所訪問時に撮影)


ナンバープレートは堂々の1番。
この車両で酷道と呼ばれている国道319号を走るのか・・・と思いながら乗車。

すると、またまた最前列にご案内。
どうも、先ほどせとうちバスに乗っていたのが見えたそうで、土曜の朝にあの便に乗っている人間の目的は大抵この乗り継ぎだろうとばれていました。

 

タイヤハウス上の座席によじ登り、いざ阿波池田へ。

乗り継いだ四国交通といえばどの路線も狭隘かつ強烈と聞いてはいましたが、こちらも九州で様々な路線に乗ってきた自負があります。それに先ほど「三角寺口」を見たばかり。ちょっとやそっとのことでは驚きませんよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せmmmmmmmmmmmmっま

(せmmmmmmmmmmmmっま)

 

 


すggggggggggggっご

(すggggggggggggっご)

 

 

 

 

噂に違わず、すっげえ路線でした。
10月から途中の「茂地」折り返しになり、面白みが消えるのかと思いきや「茂地」から先も引き続き激狭い道のオンパレード。すっげえ。

ただ、ここも2024年3月で廃止だそうなので見るなら今!

 

阿波池田に到着後は、有名なあの「漆川八幡」や「出合」経由で「かずら橋」へ訪れたりと半日程度でしたが楽しめました。

 

(左 漆川八幡 右 かずら橋)


さて、2路線乗ったらあっという間に帰る時間に。

もちろん行きと同じルートで帰るのですが、お昼に乗った「かずら橋」行きの乗務員の方から元々予定していた便だとポンチョが入るとの情報を聞いて急遽1本前の便で新宮へ向かうことになりました。

 

 

新宮行きはこれ↓

最高か。

 


帰りも凄まじいドライビングテクニックに酔いしれたところで、新宮には16時ごろに到着。今度は福祉センター内で待機するようでした。

 

 

予定より1本前の便で到着したため、あちこち探索していると先ほど乗ってきたバスが徳島県に帰る時間に。
ここで、人生初の路線バスの沿線撮影を敢行。

 

 

 


結果はこれ↓

うーむ、疾走感が伝わってこれはお見事。ふざけんなよ。

 

 

 

 

 

 

そして時間差を置いて、せとうちバスの最終便もやってきました。

ここでもう一枚↓

学習しないんか?こいつは

 

 

 

 

バスも来たことなので、足早に「新宮」のバス停へ。


もう転回は済んでおり、「三島駅」の行先を出して待機中でした。折り返し時間がそこまでなかったため、何枚か写真を撮影してとりあえず乗り込みます。

 

 

確かに床が木でツーステだから朝のより古いんだろうな。などと考えていると、乗る予定だった四国交通の新宮行きが到着。聞いていた通りに新しめのポンチョでした(それはそれであの道を走る光景は見たかったな...

四国交通が到着してから十分程度の待機ののち、三島駅に向けて最終バスが出発。車両はともかく、乗り継ぎにはベストなダイヤ設定です。並ぶところも見れて満足。

 

そして、峠のトンネルを通るころには既に真っ暗。どこを走っているのか分からないまま右に左に揺られ気づいたら三島の市街地で渋滞にはまっていました。
実は、このあと特急列車と高速バスを乗り継いで神戸に行く予定でしたが、ここで十分以上遅れてしまい計画は破綻。やむなく新幹線にしたのは苦い思い出です。
そもそもバスが十分遅れたら破綻する計画を立てるのが間違いなのは言うまでもなく...

 

 

 

神戸からは今は亡き『呉ドリーム大阪号』と、防長交通の『周南ライナー』を乗り継いで福岡に帰りましたとさ。

 

(どういう乗り継ぎ?)

 

 

 


あと2か月もあるのだから行くべし。